雨やどり


管理人室 -- 日記 -- 2023/11
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2023/11/29 個人的試演会(冬)・おうむ
2023/11/27 9と1
2023/11/19 雪夜
2023/11/17 嫌なことの続きの続き
2023/11/16 遠いはずの、憧れの場所
2023/11/14 『はらぺこあおむし』どのシーンをよく覚えているか
2023/11/09 妖精のしわざ
2023/11/07 傍観

2023/11/29 個人的試演会(冬)・おうむ

今が秋なのか冬なのか、ずっと考えている。秋かなと思っていると、冬の風が吹いたりする。だけど、明々後日は冬と決まっている。その日の個人的試演会を、明日の午前中か昼前にするかもしれない。たぶんツイキャス。連弾の下のパートばかりを黙々と弾き続ける(何の曲か分かるかのクイズみたいになりそう)。一曲だけソロを弾かねばならないので、最後にそれを弾きます。
直前になるほど、意外にやることがない。と言いつつ、タイムスケジュールと影アナ原稿を完成させていないのだけれど。それらをやって早めに寝よう。早起きのからだにしておかなくちゃいけない。その前にすこしだけ本を読みたい。クリスマスの本と、最近入手した岡田淳さんの私家版マンガ「おうむ」を大事にゆっくり見る。もったいなくて大事にゆっくり。

2023/11/27 9と1

深夜の峠で9頭の鹿に会った。道に立ちはだかっていたのが2頭。道にはみ出ていたのが2頭。道端にいたのが5頭。
そんなことより、昨夜は月がずっときれいだった。たったひとつの月が、家に帰ってもまだきれいだった。

2023/11/19 雪夜

昨日は、昼過ぎ、どんより暗くなってきて雪が降った。暖かくて明るい箱の中から眺めるその景色は、わくわくする。クリスマスのようだった。夜になってもちらちらと舞っている。ほっぺたに当たる前に消えてしまうのを確かめながら、ゆっくり歩いて帰った。
朝になって、まだ日が昇る前、大急ぎでカーテンを開けた。いつもの風景がうっすらと白く覆われている。太陽が出ればすべてとけてしまう、と思った。だけど、この儚さは全然もったいなくない。昼間は暖かくなって、少し前から企んでいた通り、花壇にチューリップの球根を植えた。朝晩はすっかり寒くなったけれど、マリーゴールドがきれいに咲いている。それらを手前に植えなおして、奥にチューリップを植えた。春に色とりどりのチューリップが咲くころ、今マリーゴールドがある場所にはきっとビオラでも植えよう。
そんな春を、今はなるべく遠くに感じていたい。冬の雪夜を懐かしく待つ。

2023/11/17 嫌なことの続きの続き

一昨年の夏にあった嫌なことの続きが、昨年の春にいったん途切れて、今またその続きに直面している。昨年春の時点の日記(2022年3月21日)を読み返して、過去の自分に励まされた。強くあらねばならない。その心持ちで考える。 ①受け入れる ②断る ③無視する きっとわたしの心はもう決まっているのだけれど、はっきりとこれだと言ってしまわないことにして、今日はもう寝る。おやすみなさい。

2023/11/16 遠いはずの、憧れの場所

 高楼方子さんの『十一月の扉』を読み終えた。はぁ~~、読み終えるのがもったいなくて、最後のほうはゆっくりゆっくり読んだ。高楼方子さんというと、「のはらクラブ」シリーズ、『お皿のボタン』、『わたし、パリにいったの』のような、素直でかわいい絵本のイメージがあった。登場人物のみずみずしさはそのままに、332ページ分の深みのある一冊で、読み終えて思わずため息が出た。
 引っ越すことになった中学生の爽子。2学期が終わるまでの2か月限定で、偶然見つけた「十一月荘」で暮らすことになる。物語の始まりで、この建物が登場した瞬間から、そこがぜったいにすてきな場所であると思える。そして、やっぱりすてきなところだった。読みながら、そこで暮らす自分自身を想像してうっとりしちゃう。そういう力のある物語だった。遠いはずの憧れは、現実味があるほど、近くなる。たとえば、岡田淳さんの「こそあどの森」シリーズで、スキッパーがウニマルで暮らしているように! A.ランサムの『ツバメ号とアマゾン号』で、子どもたちの無人島での暮らしの近くに大人たちの存在があるように! どちらも、そこに自分自身が入り込んだとしても、ちゃんと暮らせると思える。十一月荘もまた、わたしにとってのそういう場所になった。
 物語の中にもうひとつの物語(爽子が書く「ドードー森の物語」)があるのもいい。現実と「ドードー森の物語」が互いに影響を与え合っている。一方がもう一方に飲み込まれることなく、どちらもちゃんと存在しているのがわかる。そして、それがすてきな秘密であることに、きゅんとする。
 それから、11月からクリスマスまでの、特別な季節感が好き。11月の美しい秋の日は宝物のような感じがする。冬へと季節が変わっていくのは、心の変化と似て、さりげないのにいつのまにか姿も色も変わっている。そして、クリスマスの光。この季節感が物語にぎゅっと詰まっていて、同じ季節に読めば深まるし、違う季節にもきっと思い出せる。
 児童書ということになっているけれど、子どもだけの本じゃないと思う。高学年以上なら自分で読めますというだけで、何かのジャンルに分類してしまうのはもったいない。だけど、すべての人に薦めたい本というよりは、この世界や登場人物の気持ちを大切に思える人が読んでいたらいいなぁ、と勝手に思う。

タグ: 読書 

2023/11/14 『はらぺこあおむし』どのシーンをよく覚えているか

わたしが小さかった時から家にある『はらぺこあおむし』は、今は教室の本棚にある。ふと、久しぶりに読んでみようという気になって、手に取った。読んでいた頃の記憶(と言うには大げさすぎるほどの淡いもの)は、ふしぎと、ちゃんと蘇るものね。本を手にするたびに心に浮かぶシーンは、ひざにのせて読んだあの頃から今も変わらず、「そのばん あおむしは、おなかが いたくて なきました。」というところ。おなかがいたい顔をしているあおむしの絵こそが、わたしが一番に思い浮かべる「はらぺこあおむし」の姿だ。おいしそうなたべもののページよりも、ちょうちょになったページよりも、おなかがいたいあおむしを一番よく覚えている。
だからどうという話でもないのだけれど、ちょっと離れたところから自分自身を眺めて、わたしはそういう人なのだなと思う。おなかがいたいあおむしをよく覚えている人。うちに来る人たちが、本棚からどの本を手に取るか。本について話をする時に、どのシーンのことを言うのか。本を挟むと、普段とは少し違う場所でその人のことを発見できる気がする。やっぱりと思うこともあるし、意外だと思うときもある。そして、あの本が好きな人だとか、あのシーンを選ぶ人だとか、こっそり思っている。

2023/11/09 妖精のしわざ

自転車のカギをなくして1か月ほどが経った。3つあるカギの、いつも使っていた1つが、どこにもない。1時間くらいあちこち探したけれどなかった。すべての鞄の中を、小さなポケットの中まで何度も見た。コートのポケットも確認したけれど、どこにもない。あとの2つはしまってある場所にきちんとあって、自転車に乗れないわけではない。だけど、カギなくしちゃったなぁってずっともやもやして、乗らなかった。
それが突然見つかった。いちばんよく使うショルダーバッグのファスナーの付いたポケットの中に、ころんとあった。何回も見たのに! 探したときはなかったのに! 妖精のしわざだ、と大まじめに思った。当たり前に、妖精はいる。
 

2023/11/07 傍観

思っているまま言えずに、11月も一週間が終わる。決意した通りの気持ちは変わらずちゃんとあるのに。離れていく理由が些細なことでじゅうぶんならば、再び迷いを生むのもほんの些細なことで足りる。ほんの一言だったけれど、わたしはそういうのに弱い。普通にきゅんとした。どのみち春までは待ってもいいだろうから、しばらく放っておく。
おとといの日曜日、東京に行った。よく知っている匂いがした。懐かしくもあったのは、ここにだっていつまでもいられるわけじゃないという気持ちからかもしれない。暗くなって、ごはんだけ食べて帰った。どこかでだれかといるわたしのすべてが、このところなぜだか他人事のように思える。

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