雨やどり


管理人室 -- 日記 -- 2022/10
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2022/10/30 かわいい柿
2022/10/27 エーモス
2022/10/26 柿の日
2022/10/10 東京の匂い
2022/10/09 明日
2022/10/08 考
2022/10/05 壊して直す

2022/10/30 かわいい柿

髪もしばらず、化粧もほとんどせず、かわいい柿のワンピースを着て散歩した。東京に着いてから東京を去るまで2駅ぶんしか電車に乗らずに、一日中歩いていた。住宅街のようすはわたしの住む街とはもちろん違うけれど、同じ東京でも、広い東京、すべてが違うの。坂と電車、坂と道はうまく組み合わさって、いつでも知らない国に迷い込めそうだった。無くなってしまったものに悲しい気持ちになりかけたとき、でもわたしは覚えている、と思えた。ひとりぼっちの秘密。それらのどれもがうれしくて、ずっと歩いた。
たくさんの人がいて、みんな楽しそうだった。楽しそうなにんげんたちを眺めて、くらくらした。だけど、わたしもちいさな鍵盤から音を出した瞬間、とても楽しいと思った。いつも触れている鍵盤のことを思い出して、弾きたいなと思った。たまに遠くに来たのなら忘れちゃえばいいのに。
結末を知っている絵本でも、いつも泣いてしまう。それは、ふたりの勇気に心を打たれるからであって、寂しいからではない。そんなとき、わたしはふたりを眺めているだれかではなく、ふたり自身になってしまっているのだと思う。それがわたしの生活でもできたらいいのに。勇気も涙もなし。

2022/10/27 エーモス

大きい人たちは、たいてい何かを求めている。だからだろうか、それともそんなことは関係なくだろうか、いつまでたっても警戒してしまう。
うちに来る子どもたちに、わたしは何の迷いも疑いもなく笑いかけている。仕事だから? そういう立場だから? そうではない気がするけれど、そうではないと言い切れないところが、だめだなと自分自身に対して思う。
どちらが本当の私だろうか。どちらかが私の一番深いところにある真の性質だとしたら、もう一方は偽りということになるのだろうか。本当は誰のことも信じられないのに、うちの子たちに信じ切った顔を向けているのだとしたら、こんなに悪いことはほかに思いつかない。最悪だ。そうでないと堂々と言えたらよかったのに。心の底から信じているよと言えたらいいのに。自信がない。そういう自分自身のことがとても嫌になっている。
本を読んで散歩をしたい。けれど、たいちょがしばらくずっとびみょうで、うっとかあーとかなったりフラフラしたりしている。やらなくちゃいけないことも山積みだし。がんばる。さよなら、なかよしのくじら(ねずみがこう言ったとき心を想像すると勇気が出る)

2022/10/26 柿の日

昼間、歩いて図書館に行けた。よかった。今日は柿の日らしい。柿の本が並んでいた。柿の日、おめでとう。

2022/10/10 東京の匂い

東京の街は、東京の匂いがする。誰かの家に行ったときにその人の匂いがするみたいに、東京は東京の匂いがした。3年ぶりに乗るオケの練習で東京へ行った。
数か月前、週に3~4回は少しずつでも吹こうと思っていたのに全然できず、一週間前くらいから慌てて楽器を出してとにかくロングトーンとリップスラーだけした。そして、練習前夜に慌てて小節番号を振りつつ、スコアを見ながら曲をちゃんと聴いた。当日の朝、30分くらいでざっとさらって出発。車で、渋滞も入れて3時間弱みて行ったら4時間弱かかって、50分の大遅刻。そのせいでハイドンは乗り損ねたけど、結局降り番になったのでセーフ。モーツァルト(ひとまず下を吹いたけどこれも降り番)、ベートーヴェン、シューベルトには間に合った。3時間吹いただけで、口がかなり戻ってきた! 高校時代はずっと上吹きだったけど、大学のとき下をけっこう練習して、今回は下吹きで乗る。シューベルトはソロあるのでがんばろう。ぱんぱぱーん、ぱんぱぱーん、ぱんぱぱーん……。
17時前に終わって、誰かに連絡してごはんを食べるとかもできたのだけれど、ひとりでロイホに入った。夕方の空が懐かしかった。その空はわたしが覚えている東京の空と同じだった。窓を開けた車で、いくつもの駅の近くを通りすぎた。人がたくさん歩いていた。帰りは休憩なし渋滞なしで、2時間半ちょっとで帰宅。ここはここの匂いがして、東京の匂いと全然違う。のどが渇いていて、ぶどうジュースをごくごく飲んで寝た。

2022/10/09 明日

明日は東京に行きます。仙台にいる友達も、熊本にいる友達も、静岡にいる友達も、もちろん東京にいる友達のことも、わたしはよく思い出す。むかし一緒に過ごしたときのみんなを思い出す。思い出すと、なんだかもうすっかり関係のない人みたいに思えてしまう。最近は仕事以外のメールやLINEを誰ともしていない。考えたことは時々日記に書いて、誰ともそういう話はしない。わたしの好きな場所は変わらずあるのだろうと思えるけれど、そこにわたしの好きな人たちがいることが想像できない。それで、明日はせっかく久々に少し遠くに行くのに、誰とも何の約束もできなかった。東京の空を見てぼんやりして帰るんだと思う。いまのみんなのことを、少しでも想像できたらいいのだけれど。

2022/10/08 考

もうやりつくしたと思ってから、突きつめていくのって本当に難しい。そもそも、やりつくしたと思えるところまでたどり着くことすら難しい。うちのこたちはすごい。わたしも一緒にあきらめずに考えつづけようと思う。
初めて会うひとにも、出会って何年もたつひとにも、その気持ちは変わらないけれど、言葉は基本的にだんだん少なくなっていく。飾りが少なくなっていく。だけど、ものすごくしっかり喋り合う時もある。
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2022/10/05 壊して直す

このところよく物を壊してしまって、落ち込んでいる。しかし、壊れたものを直せることは、なんて楽な方法だろうと思う。
修理に出したiPhoneが戻ってきた。代用機のandroidは通知があるとピカピカ光る。高校生の頃に使っていたガラケーも、メールが来るとピンクに光った。勉強しながら好きな人からの返信を待って頻繁にちらちら見てしまうのに、いざ光っているともったいなくて開けなかったりした。ようやく開くと違う人からだったりして。その頃のことを思い出した。これ以上に好きな人はこの先いないだろう、と本当に思っていた。その人のことは全然懐かしくないけれど、当時のわたしのことは懐かしく感じる。きっともう、そんなふうには思えないものね。そんなことを思うわたしはとっくに壊してしまって、もう元には戻らない。壊してしまってよかったのか悪かったのか、今はわからない。
一度壊したら元に戻せないものは、たくさんある。最近、壊したきり直せないものばかりが溜まっていたのかもしれない。それで、直せるものを壊して(わざとじゃないけど)、直して、しっかりやっている気分になっているのかも。ちゃんとしたい。とりあえず早寝早起きをしたい。と書いている今は、27時18分。7時には起きたい。

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