雨やどり


管理人室 -- 日記 -- 2022/06
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2022/06/30 6月おわり
2022/06/23 伝統 in 部活
2022/06/12 岡田淳原画展@福井
2022/06/05 演奏するときの勇気

2022/06/30 6月おわり

6月中に髪を切ろうと思っていて、最後の日にようやく切った。1年くらいぶり。15センチくらい。ザクザクジャキジャキ切った。調子に乗ってすきばさみをザクっと入れすぎたりして、細かいところは気になるけど、おおよそよし。にこにこ。
夜、読書が大好きな小学生姉妹がやっているラジオ番組「いろことの図書室」が久々に更新されているのに気づいて、とてもうれしかった。6年生になったお姉ちゃんのいろはちゃん、とても賢い子でびっくりする。お母さんとおしゃべりする回がすごい。普段からいろんな事よく考えたり感じたりしているんだろうなとわかる。話すのも聴くのも上手。将来有望。というよりすでにとてもすてき。2年生になった妹のこっちゃん、相変わらずかわいい。これからも楽しみに聴きたい。

2022/06/23 伝統 in 部活

部活においての「伝統」とは、お互いの面倒を見ることではないかと思った。

伴奏合わせで久々に高校に行った。まず一度通して合わせる。聴こえない(発声の問題)し、何をしたいか分からない(考えて歌ってる?)。前に発声を何とかしたほうがいいと念を押しておいたおかげで、先生も何とかしなくてはと思ったらしい。事前の打ち合わせで「曲を使って発声もやりたいから待つ時間が長くなるかも」とのことだった。
いざ、先生がパートごと歌わせて発声指導しているのを眺めていた。あまり変わらない。発声の指導法がいまいちということだけではなさそう(それもある)。ソプラノから始まってバスに行くまでの数分間のうちに、考える。何が変わらないのか。息の量や使い方? おなかの支え? うーん…… 考えを巡らせるうちに、思い至った。ひとりずつが歌っているという意識。これでは?! 恐る恐る手を挙げ、パートごとではなくひとりずつやったらどうかと提案してみた。みんなのドキッ(ギクッ?)とした顔をみて、ひとりで歌えないからこうなんだとほぼ確信した。とにかくやってみようということになる。最初の子が、パート全員で歌った声よりしっかりした声をひとりで出していて、やっぱりと思った。ほかの子もみんなそう。やっている間、私は最初の音をあげるだけでよかった。先生が多少口出しするものの、お互いに言い合ったほうがいいよと伝えておいたので、自分たちでもっとこうしたほうがいいとかここがよかった(よかったところを言えるのは改善点を言えるより大事かもしれない。これがいいものなんだという共有にもなる)とか言っているのを聞いて、できるんじゃん! と思った。
意識が変わったら全体的な発声もかなりましになって、その後の曲づくりの練習がとても捗った。何をしたいのか分からなかったのも、発声の意識が変わったら分かった。曲のことちゃんと考えて歌ってたんだと気づいて、安心した。

そして、ようやく冒頭に書いた「伝統」という話になる。今から3年もすればここにいる高校生たちはみんな入れ替わって別の人たちになっているのに、同じ名前の団体として存在している。当たり前のように思うけれど、よく考えると不思議だと思う。一般のオーケストラとか合唱団なら、こんなにころころと人が変わったらやっていけない。それが部活ではこうして流れて続いていくのは、今までいた人たちがよくなろうとして、お互いに言い合ったり聞き合ったりしてきたからなのだろう。新しく入ってきた人たちはその仲間になる。いつでもお互いの面倒を見る。いい形で続いていくには、このことが必要だと思った。「伝統」とは、同じことをやり続けることではなく、いい形で続いていくことだと思う。
馴れ合いでやってる部活もあるだろうし、それでいい人たちはそれでいいのかもしれないけれど、この高校生たちはそれでいいという感じでもなかった。だけど、なぜかよくない。よくなろうとはしているのだけれど、空回っている。みんなが横一列で同じ方向だけを見て歩いていたのだと思う。横を見れば、仲間がいるのに。がんばってほしい! 私には、私だったらこうするみたいなことしか言えないけれど、そのことを考えたりやってみたりして、少しでもよくなることがあれば、勇気を出して手を挙げてよかったなと思う。

2022/06/12 岡田淳原画展@福井

少し前に星の形をした願いのピノに当たってから、天気運がすこぶるいい。この日もまさに梅雨の晴れ間で、久しぶりにすっきりと青い空を見た。12:20まで仕事で、12:30に家を出て、もぐらのほんだなさん企画の岡田淳原画展へ向かう。福井県鯖江市というところ。福井県はなんと初めてだった。海あるじゃんとうれしい気持ちで向かう。途中ちらっと見えた水が海だと気づくのに時間がかかったせいで、杉津PAに入り損ねた。敦賀湾か。あと2秒早く気づいていたら……! 行きは渋滞もなく、ナビは4時間半予想だったが、4時間で着いた。
16:30頃着いたとき、『星モグラ サンジの伝説』を手にした子どもがちょうど建物から出てきて、うれしかった。ドキドキしながら階段を上る。とてもよかった! この物語が、あの世界が、たしかにあるのだとわかった。そして、その物語や世界を好きでいる人たちが、たしかにいるのだとわかった。岡田淳さんの作品(絵もお話も)がこんなにすてきなのは、物語や世界を好きでいる人たちの中に、ご本人も含まれているからだと思う。岡田淳さんも、岡田淳さんの描く物語や世界をとても好きでいらっしゃるのだと思う。どの絵もすてきで、にやにやしながら、いや、にこにこしながら見入ってしまった。こういうときは、マスクの時代でよかったと思う。5~6周してまだまだ見ていたいくらいだったが、終わりの時間も迫ってきた。
今回、福井までやってきたのは、もちろん大好きな岡田淳さんの原画を拝見するためでもあったけれど、この展示を企画されたもぐらさん(呼び方あっているでしょうか……?)にも、ぜひお会いしてみたいなと思ったからだった。少し前にツイッター(しばらく冬眠していた彩のアカウント)で存在を知り、興味とすてきな予感を持ったので、お会いできてよかった。わたしは、愛読者として読み続けることしかできない。原画展というものを企画して開催することは、とてつもない勇気がいると思う。その勇気もすごい! と思ったし、こうしてこんなにすてきにやり遂げていて格好よかった。予感どおりとてもすてきな方で、機会があればぜひまたいろいろお話をしてみたいです。
来てよかったと心の底から思った。興奮冷めやらぬまま、海のある方へ向かう。と思ったら、山! と思ったら、海! という感じで海に出た。途中で車を止めて、20~30分、付近を散歩。そのまま窓を開けて海沿いの道を敦賀のあたりまで走った。潮の匂い。私の青い車が海の匂いになった。ようやく高速に乗る。途中、名神で渋滞に遭いつつ、ゆっくり7時間くらいかかって午前1時半ころ家に着いた。まだうれしい気分が続いていて、まったく疲れを感じず、がんばって寝た。

タグ: 岡田淳さん 

2022/06/05 演奏するときの勇気

本番。ブラームスの「6つの小品」op.118から4.Intermezzoと5.Romanzeを弾いた。運営の全体的な雰囲気などがほんとうにむりで、心が冷たくなってしまい、直前までちゃんと弾けるか心配だった。そのうえ、ステージ袖が寒すぎて凍死寸前だった。しかし、ステージに出たら、気温が高くて救われた。それから、ベーゼンドルファーというドイツのピアノが、木のような温かさと深い響きを持った楽器で、はじめの音を弾いた瞬間に、このピアノなら最後まで信じて弾けると感じて、救われた。リハーサルのときは、鳴らないというか響きが薄っぺらいように聴こえて、定まらないうちに時間が終わってしまった(リハ中も心が冷たくなることがあってほんとうにむりだった)のだが、お客さんが入ったら響きが変わった。あるいは、私の気持ちの持ちようが変わっていたのもあるかもしれない。
弾き終えたあとになって、とてもドキドキした。好きな人に会った帰り道みたいに。むかしから、うれしかった日の帰り道に電車を乗り過ごして、戻ってまた乗り過ごすなんてことがよくあった。ブルグミュラーの25の練習曲に「帰り道」という曲があるけれど、あの曲は帰った先が楽しみなのではなく、“ごきげん”を連れて帰ること自体の喜びなのだとふと思った。そういう気分だった。

演奏会も終わりひととおり落ち着くと、いつも不安になる。聴いている人に届いたか。私の思うことをそのままわかってもらえなくても、その人なりにいい音楽になっただろうか。よかっただろうか。今回、聴きに来てくださっていた知り合いは少なく、その中にもはっきりと批評してくれる人(師匠や家族)もいなかったから、余計に不安になる。
音楽は最後の最後は聴いた人のものだから、作ったり演じたり奏でたりするには勇気がいる。私が演奏するときの勇気にしているもののひとつに、小さいころから大好きな作家・岡田淳さんがいる。2019年の秋に『図書館からの冒険』を読んですぐお手紙を出したら、いただいたお返事のお手紙で「本が出たあとはいつも不安になります」とおっしゃっていた。岡田淳さんでもそんなふうに感じるんだ、と思った。それでもあんなにすてきな物語がいつも生まれて私たちに届けられていることは、とてもすごいことで、うれしいことだと思う。こう思えたことが、私が人に向けて音楽をしていることの勇気になっている。

ちょうど岡田淳さんの話になったので、ほんの少し先の未来のことを(未来のことを書ける日記は、自由!)。もぐらのほんだなさん企画の岡田淳原画展に行きたいなと思っている。とてもすてきな予感がする。今週の日曜日、お昼で仕事が終わったら、向かいたい。車で4時間半くらいかや。間に合うかしら。渋滞とかありませんように。

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