雑誌『飛ぶ教室』第34号に収載の短編。『ふしぎの時間割』の「〈夢みる力〉」を思い出させるようなタイトルだ。
再体験
この物語は、ぼくが実際にむかしの教室に行って体験しているのではない。記憶だけがやってくる。それを「再体験」と話しているのは、いい表現だと思う。その「再体験」が、その時代の物語として単独で語られるのではなく、いまのぼくがいまのみんなに話していることで、世界が続いてきたことが分かる。
みんな
みんなで穴を掘ってきたこと、そこが「隠れ家」というだけでわくわくするし、そうでなくてもこのことはみんなにとっておもしろいことだった。“なんのために”という発想ではなく、みんながおもしろいと思えたことが、“みんなでなにかをする”ことのいちばんの意味だろうと思える。もちろんただ楽しければいいのではなく、みんなが、自分じゃない人間がいるという想像力を持っているからこそ、“みんな”というまとまりがすてきになる。
2019/11/13
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