雨やどり


岡田淳さんの本を読む -- 夜の小学校で

だれかがいる

「学校にだれかがいる、ということ」教頭先生が言ったように、これが夜警のしごとを始めた「ぼく」の、いちばんのしごとだ。だれかがここにいたから、このふしぎの数々は起きた。だれもいなければ、きっと何も起きなかった。
ふしぎがほんとうのことだと思わされるのは、ふしぎな出来事が、日常とひとつながりの物語になっているからだろう。ふしぎの数々はどれも素敵だ。そんなふしぎで素敵なことが「ぼく」のまわりで起きた、ということは変わらずほんとうにある。
 

ぼく

「ぼく」は岡田淳さん自身のように思えたり、そうでないところももちろんあったりする。「ぼく」が「ぼく」であること。「ぼく」が「ぼく」でしかないこと。読者は、「ぼく」に他の誰かや自分自身を重ねてみる。「ぼく」の周りで起きたのとは違う、自分にしか起きないふしぎが、自分にも起きるかもしれないと思える。
 

挿絵

挿絵がどれもいい。とてもきれいだ。画集に物語がついたみたいにも思える。岡田淳さんの絵には、やっぱり引き込まれる。それはやっぱり、ひとつの絵のなかにたくさんの物語があるからだと思う。そこに描かれたすべてがそれぞれの物語を持っているような気がする。
 
 
2019/11/07

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