雨やどり


管理人室 -- 日記 -- 2019/06
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2019/06/22 他人には好きと言わない
2019/06/19 またいつかどこかで
2019/06/17 顔・匂い・月

2019/06/22 他人には好きと言わない

たとえば私が「Rはとても素敵な人だから、私は彼のことが好きだ」と言うとする。その好きの気持ちはどこへ行ってしまうのかなと思う。他人から、誰かがあなたを好きだと言っていたよ、と聞くとき、私は悲しい。思った通りには伝わらないだろうし。だから、本人以外に向けてその人のことを「好き」と言いたくない。それは、他の人に聞かれたくないということでもある。
ほんとうは大好きだから結婚するのだけど、それは単純に言葉通りのことでしかない。結婚する理由は他にあって、私の場合は「かっこいい名字になる」だとか「ウェディングドレスを着る」みたいなことでしかない。結婚式は、ドレスを着る以外のことはすべて面倒だろうと思う。愛の誓い(思い込みの宣言)とか、人を呼ぶこととか…。何のため?
みんな(全員ではない)のことが好きではだめだろうか。好き合っていることは、どんな形になるのだろうか(もちろん、私たちの場合の話)。それぞれが見ている形はきっとすごく遠い。そもそも好き合ってはいないんじゃないだろうか。具体的に思い浮かべるみんなのことが私は大好きだし、みんなも私のことを好きだ。それはとてもうれしく、心強い。それなのになぜ私は、魂のいちばん遠いところにいる人を思い出してしまうのかな。分かりきったことを口にすることほどダサいことは無いけれど、それを伝えたいのは、私が弱いからだろう。そしてそれを伝えないのは私がもっと弱いからで、しかしそれが、私はダサくないのだという偽装をする。皮肉な世の中。
私とあなた(みんな)の間だけで、証明としてではなく、事実としてでもなく、ただ「好き」と言えたらいいのになと思う。真面目な顔で言いたくないし言われたくない。できれば眠っている時みたいな顔で。 ちなみに結婚の予定はまだありません。たぶんしばらくない。

2019/06/19 またいつかどこかで

目が冴えて眠れなかったのは、コーヒーのせいだ。昼過ぎから18時ころにかけて3杯も飲んだのだから。それを不眠症のように気取っていたのは、私がまだごっこ遊びをしている子どもだということだろう。その日の日記は、起きたことを書いたばかりでつまらなかった。あれからまた少し歩いて、思い出して、考えた。
少し前に友達と「また来てね」についての話をした。そんなこと言われたくないよね、と。また来ようと思っているのに、そんなふうに言われたら悲しい。もう来ないと思われたのだという気になる。「はい…」と言うしかない。喧嘩は避けたい(だって喧嘩はつまらない)から、嫌です、とは言えないし。仲良しならば言えるけれど、それは、わたしとあなたが一対一だからこそ、だ。それに仲良しならば、「また来てね」なんて言えば興冷めだと、分かっている。それでも今のところ、私が必ずまた来ようと思う人(=場所)には「また来てね」と言われたことがない。嬉しい。
あの日、7か月ぶりくらいに訪ねた店のマスターは私を覚えていて、いつ来るかと待っていてくれたらしい。幸福なことだなぁ。もう来ないだろうと思ったら、忘れ去られていたに違いない。隣に座った人は、なぜか地元のサッカーチームの応援歌DVDをくださった。「またいつかどこかで会ったら感想を聞かせてくれ。」ああ、またいつかどこかでこの人に会えたらいいなぁと思った。「また来てね」は確かに必ず会えると分かるけれど、「またいつかどこかで」という言葉は、それよりもっと確かなものだという気がした。
月が綺麗だった。窓から見えた月をひとりが見つけて、「今日は満月?」と言った。「たぶんそうだ!」と、翌日がストロベリームーンだなんてことは知らないみんなではしゃいだ月は、だから綺麗だった。いま思うと、あれは、14番目の月だったのだなぁ。

2019/06/17 顔・匂い・月

眠れなくなって布団の中でぼんやりしながら一時間ほどが過ぎた。まだ眠れそうにないから、横になったままスマホでぽちぽちと日記を書く。最近、変な夢ばかり見るのは何なのだろう。疲れて起きて、全く眠った気がしない。しかし、朝(仕事)はやって来るから起きて動く。「起きる」という行為をしているのだから、眠っていたということだ、と思い込んで。(思い込みは敵…)
昨日は、少し離れた街へ出かけた。泊まっているので、まだいるけれど。午前中の用事を終え、14時近くになってようやく昼にした。兄に聞いた店に行ったが、少し迷って隣の喫茶店に入る。普段は別の人がやっているお店で、日曜だけはそのマスターがやっているという。座っているうちに、もともと彼がやっていて、今の人に譲ったらしいということが分かってくる。もうずっと前にA高校を卒業したらしいことも分かってきた。なるほどAっぽい顔である。A高校はわが母校のS高校と似ているので、少し嬉しい。学歴は私にとって本当にどうでもいいが、こういう気持ちにはなる。兄の家(兄はあいにく不在で勝手に泊まらせてもらう)に車を置き、街まで歩く。車で通るたびに歩いてみたいと思っていた道は期待以上に楽しかった。川沿いの緑色の店で、ラズベリーとグレープフルーツのジャムを買う。前に通りかかって入らなかった喫茶店に昨日は入り、17時にケーキ。ここは友達と来ておしゃべりするのに良さそう。さらに、前に通りかかった時は定休日だった喫茶店に入る。知っている別の場所と同じ匂いだ!と思う。雰囲気とかいう意味ではなく、そのままの意味の匂い。永遠にいられそうだった。本を読んだ。本を読める場所、というのは、いい場所だ。昼からコーヒーを3杯も飲んだせいか、気圧のせいもあるのか、頭痛がするが、気分がよく、昼の続きで夜の部へ。
たしか去年の11月昼にお邪魔した店に行く。いろいろしゃべって、思ったより長居してしまった。もう一軒くらい行きたかったが、眠くなり、頭痛もまだしたから、徒歩40分の道をおとなしく帰る。晴れたり雨がパラパラ降ったり、よくわからない天気だったが、月が綺麗だった。会いたくなってしまった。
外が明るくなってきた。頭痛もほとんど治っている。もう少ししたら起きて(眠っていたことにして)、歩こう。そのまましばらく行方不明になりたい。さようなら〜、とか言ってね。

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